マンスリーレポート
あれから50年 ~アポロ11号 月面着陸
1969年7月16日、アメリカのケネディ宇宙センターを飛び立ったアポロ11号は、 同月20日(日本時間21日)に「静かの海」と呼ばれる月面の平地に着陸しました。
この時の映像は世界40ヵ国以上に配信されたそうです。
筆者も小学校高学年でしたが、今見えている月(日本では深夜に放送されていました)に人間が行こうとしていることにビックリして、睡魔と闘いながら必死で家族と見たのを覚えています。
その当時を思い起こしてみると、筆者の周りでは望遠鏡での天体観測がプチブームになっていたように思います。
親に無理を言って安物の望遠鏡を買ってもらい、にわか天文ファンになって、しばらくは夢中で天体観測をしていましたが、程なく熱も冷めてしまいました。
翌1970年の大阪万国博覧会のアメリカ館でアポロ11号が持ち帰った「月の石」が展示され、それをひと目見ようと長蛇の列ができました。
他にも「アポロ」の名前がついたお菓子も販売されるなど、その当時は非常にセンセーショナルな出来事であったと思います。
ところで、皆さんはどこからが宇宙だと思いますか。
一般的には空気がほとんど無くなるところからを宇宙といいますが、国際航空連盟(FAI)では高度100kmから上を宇宙と定義しています。また、アメリカ空軍では、80kmから上を宇宙とみなしているそうです。
当時の懐かしい思い出に浸りながら、有人宇宙活動の歴史や、今年、気になったトピックスを少し振り返って見てみたいと思います。
1. 有人宇宙活動の歴史
「宇宙を目指して・・・2大国家の競争」
1961年 旧ソ連が人類初の有人宇宙船ウォストーク1号を打上げ
1961年 アメリカがマーキュリー宇宙船を打上げ
1965年 旧ソ連が人類初の船外活動に成功
1965年 アメリカが船外活動に成功
1969年 アメリカのアポロ11号が人類初の月面着陸に成功
「宇宙での長期滞在開始」
1971年 旧ソ連が世界初の宇宙ステーション「サリュート」を打上げ
1973年 アメリカはスカイラブ計画を実施
「競争から協調へ・・・」
1975年 アメリカのアポロ宇宙船と旧ソ連のソユーズ宇宙船がドッキング
1981年 スペースシャトル初飛行
1986年 旧ソ連が宇宙ステーション「ミール」打上げ
1992年 毛利宇宙飛行士、日本人初のスペースシャトルで宇宙へ
1998年 国際宇宙ステーション建設開始
(出典:JAXA 宇宙航空研究開発機構)
1961年、旧ソ連が人類初の有人宇宙飛行に成功しました。その時の宇宙飛行士はユーリ・ガガーリンで、「地球は青かった」という言葉は有名になりました。
ガガーリンから3週間後にアメリカがマーキュリー宇宙船を打上げ、有人宇宙飛行に成功しました。その後も旧ソ連とアメリカが競うように船外活動を成功させるなど、2大国家の競争が激しくなりました。
そのような中、1969年7月アメリカのアポロ11号が月面着陸に成功し、初めて2人の宇宙飛行士が月面に降り立ちました。その後もアメリカは月面に飛行士を送り込み、アポロ計画では6回の月面着陸に成功し、12人の宇宙飛行士が月面に降り立ちました。
1971年旧ソ連が宇宙ステーションを打ち上げてからは、人類が長期間宇宙に滞在することが可能となりました。
また、1992年、毛利衛さんが日本人宇宙飛行士として初めてスペースシャトル「エンデバー号」で宇宙に行きました。
1998年からは競争から協調の時代に入り、アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパの国々、カナダなど15ヵ国が参加して国際宇宙ステーションの建設が開始されました。2000年からは約3ヵ月交代で宇宙飛行士が滞在し、いろいろな実験を行っています。
2. 宇宙に行った人の数
2-1.保存食としての加工肉製品
これまでに宇宙に行った人(※1)は、562人(※2)で、国別に表したものを以下に示します。
※1:宇宙へ行った人とは、高度100kmを越えたことを意味し、弾道飛行を含みます。
※2:同一の人物が2回以上飛行した場合は重複して数えていません。 また、宇宙旅行者を含みます。
このように人類が有人宇宙飛行の歴史を重ねながら、宇宙に行った人は2019年4月18日現在で562人にのぼります。
最も多い国はやはりアメリカで345人、次いでロシア(旧ソ連)122人、日本12人、ドイツ11人、中国11人、フランス10人、カナダ10人、イタリア7人と続いてますが、アメリカ、ロシア(旧ソ連)で8割以上を占めています。
また、日本が12人で3番目なのは意外ですが、日本も宇宙開発に大いに貢献していることは誇りに思います。
男女別でみると男性499人に対して女性63人と男性が圧倒しています。やはり宇宙は男のロマンなのでしょうか。
しかしながら、あらゆる分野で女性が活躍する時代ですから、今後は女性もどんどん宇宙に進出するようになるかもしれません。
3. もうひとつのトピックス ~ついに見えた
また、今年は宇宙関連でもうひとつ目を引いたトピックスがありました。
それは、ブラックホールの撮影に成功したというニュースです。
そのブラックホールの撮影に成功したのは、イベント・ホライズン・テレスコープという地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際協力プロジェクトで、2019年4月10日、研究チームは世界6ヵ所で同時に行われた記者会見において、巨大ブラックホールとその影の存在を初めて画像で直接証明することに成功したと発表しました。もちろん、このプロジェクトには日本の研究者も参加していました。
そもそも、ブラックホールとは何なのでしょうか?
国立天文台ホームページでは、
『アインシュタインの一般相対性理論で予言された宇宙のもっとも極限的な天体』
『非常に大量の物質が極限まで狭い領域に押し込められた天体です。このため大変重力が強く、光さえも抜け出すことができません。光も一切出てこられないことから「真っ黒(ブラック)」で、あらゆるものを吸い込む「穴(ホール)」なので、「ブラックホール」と呼ばれています』
とあります。
アインシュタインの一般相対性理論で予言されたブラックホールの撮影に成功したことで、ブラックホール研究が更に進んで、新たな発見がなされることを大いに期待したいと思います。
なお、今年は一般相対性理論が歴史的な実験によって初めて実証されてから100年の節目の年に当たるそうで、月面着陸から50年とともに今年は記念すべき年のように思えます。
4. 最後に
皆さんは月までの距離をご存じでしょうか。
平均距離で38万4,400kmだそうです。
どのようにして距離を測定しているかと言うと、月に設置したレーザー反射板にレーザーを照射して、戻ってくるまでの時間を測定することによって、月までの正確な距離を測定しています。
そして、このレーザー反射板はアポロ11号などのアポロ計画で月に設置されたものなのです。
このように、月までの距離を正確に測定することが可能になったことで、年に約3.8cmずつ月が地球から遠ざかっていることも分かりました。
遠ざかってゆく月を思いながら、たまには夜空を眺めてみてはいかがでしょうか。
<参考資料>
JAXA 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター
http://iss.jaxa.jp/index.html
JAXA 宇宙情報センター
http://spaceinfo.jaxa.jp/
国立天文台
https://www.nao.ac.jp/
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