マンスリーレポート
あさひる統計でみるコロナ禍の人流の変化 ~はじめに~
新型コロナウイルスの流行がいまだ続いており、変異株の出現など終息にはまだ時間がかかりそうな気配を見せています
今日では各地の人出の増減についてTVなどでもよく取り上げられていますが、やはり数字だけではわかりにくさを感じたりもしませんか?そこで、コロナ禍で人の動きがどのように変化したのかをマップ上に「見える化」してみようと思います。
今回のレポートでは、第1回緊急事態宣言時の弊社の本社所在地周辺(福岡県北九州市小倉北区)を事例に、人流の変化を「あさひる統計」(株式会社楽しいチリビジ)データを用いてご紹介したいと思います。
※「あさひる統計」は株式会社楽しいチリビジの登録商標です。
1.あさひる統計とは
あさひる統計とは、株式会社楽しいチリビジが位置情報データから小地域(125mメッシュ)毎に流動人口を集計・編集した推計データです。
目的地への移動によって変動する地域の人口分布を、季節や平休日、時間帯ごとに把握することなど、様々な場面において活用できる、「その街の今」が分かるデータとなっています。
(詳細は こちら )
2.あさひる統計における指標(データ)区分について
あさひる統計は下図(図1)のように、平休日及び時間帯別(3時間単位)の統計データです。年間データと四半期ごとのデータに分かれており、それぞれ1年間及び3か月ごとの集計を平均化したデータとなっています。
3.「小倉」という街について
さっそく街の変化の様子について、弊社の本社が所在する小倉駅(北九州市小倉北区)周辺を事例にご紹介します。
小倉駅周辺は、図2にあるように、駅南西部は百貨店や商店街、駅南東部はビジネス街と歓楽街(飲食店)と、円形500m圏程度の中で東西で街の特性が異なります(円の中心は弊社本社)。また、さらにその周辺の円形1km圏程度にはマンションが建ち並んでおり、狭いエリアの中で多様な地域が混在した、街の変化の全容を把握するのに適した地域となっています。
ちなみに、駅北部は大型の展示施設やスタジアムといったイベント施設が立地するエリアになっています。
4.緊急事態宣言前後の比較
それでは、本題の比較に入ります。図3は初めて緊急事態宣言が出された2020年4月を含む期間(4月~6月)を対象に、過去の2時点(3か月前、1年前)と比較したものになります。
12時~15時における人出の様子を示しており、赤い塗分けが濃くなるほど人出が多いことを示しています。
※図中の円は中心から500m及び1km圏を示しています。
緊急事態宣言前後の比較では、平日、休日ともに減少していますが、休日の方がやや減少が大きくなっています。休日の様子を見ると、中心部西側の商店街や、小倉駅北側のイベント施設等で人出が減少し、赤い塗分けが減っています。また、中心部東側の歓楽街を含むビジネス街でも、平日だけでなく休日も減少しており、元々周辺より人出が少ない地域ですが、人口100人未満を示す青い塗分けが増え、ほとんど人通りの無い状況に陥っています。
このように、外出自粛等の影響により、中心部のどの地域も周辺地域からの流入が大きく減少したことがわかります。
マップで示すことで感覚的に増減を確認できましたが、改めてその変化を数値で見てみましょう(図4)。こちらは円形500m圏及び1km圏内の推計滞在人口を集計し、グラフ表示したものです。2020年1~3月から同年4~6月にかけて、円形500m圏・1km圏ともに、平日は20%台、休日は30%台で大きく減少したことが確認できます。
5.まとめ
第4項までは「あさひる統計」データによる小倉駅周辺の実際の人の動きを見てきました。ご紹介したように、小地域あるいは商圏(円形Nkm等)での人出の変化を時間帯や時系列で比較することにより、街の変化をより具体的に詳細に捉えることができます。
さらに、街の変化を踏まえた具体的な活用としては、例えば、飲食店の営業時間や店舗展開の分析が考えられます。ビジネス街では、コロナ禍前は通勤のサラリーマンなどを主要顧客とした需要が大きかったものの、コロナ禍中においては外出自粛やテレワークといった要因から、既存顧客をメインとする従来通りの経営が成り立たない状況になっていると考えられ、今後もこのような状況が続く可能性もあります。こうした人出や街の変化に対して、このデータを使ってどうアプローチするか、今後のレポートで活用例をご紹介していきたいと思います。
今回のレポートは「あさひる統計」データのご紹介でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このレポートの全部または一部を無断でコピーすることは、著作権法上での例外を除き禁じられています。