マンスリーレポート
テレワークしてみた 2/3【実践編1】
新型コロナウイルス感染防止対策のため、急激に広まったテレワーク。当社も例外ではなく、今年4月の上旬ごろから、多くの社員がテレワークでの勤務を開始しました。これまでに、出張先やその移動時などにリモート機能を利用して業務を行った経験はあったものの、本格的に「会社以外」の場所で業務をすることは初めての経験でした。しかも、家での勤務...「自分よ、家でさぼらずに仕事ができるのか...」という一抹の不安を抱えつつ、突如はじまったテレワーク。
今回は、『テレワークしてみた 1/3【概況編】』に引き続き、【実践編】として、テレワークを行ってみてのメリット・デメリットなどを経験に基づいてご紹介したいと思います。
そもそも、テレワークってどれくらい導入されているの?
テレワークのメリット・デメリットを紹介する前に、テレワークの導入状況について少し調べてみました。今でこそ、新型コロナウイルスの影響により、「テレワーク」「在宅勤務」などの言葉が身近になりましたが、これまでは、耳にしたことはあったものの、実際にテレワークで業務をこなしている、という人をあまり身近に感じることはありませんでした(あくまでも、私の感想です)。
そこで、日本のテレワークの導入率の傾向と、現在の状況についてみていきたいと思います。
日本のテレワーク導入率は約20%(平成30年9月時点)
総務省において、平成30年に全国の5,877企業及び40,592世帯に対して、情報通信サービスの利用状況等を把握することを目的とした「通信利用動向調査」が実施されています。この中で、企業のテレワーク導入率についての調査結果が公表されていました。
テレワークを「導入している」企業は19.1%で、「導入予定がある」企業は7.2%となっています。この数値について、皆さんはどのように感じますか?私は、イメージ通りというか、やっぱりこれくらいの導入率か、といった感想でした。しかしながら、平成28年から「導入率」「導入意向」ともに増加傾向にあることから、今後も普及を推進する企業が増加することが考えられます。
産業別の導入状況をみると、「情報通信業」が39.9%、「金融・保険業」が37.9%と高く、比較的テレワークを導入しやすいと考えられる産業において、導入率が高い傾向がみられました。
緊急事態宣言発令後のテレワーク実施率は?
厚生労働省では、LINE株式会社の公式アカウントにおいて、サービス登録者に対して「新型コロナ対策のための全国調査」を実施しており、その中で、テレワークの実施状況についての調査結果を公表しています。調査は3回実施されており、実施日はそれぞれ、第1回:令和2年3月31日―4月1日、第2回:令和2年4月5日―4月6日、第3回:令和2年4月12日―4月13日となっています(緊急事態宣言発令は令和2年4月7日、対象地域全国拡大は令和2年4月16日)。
テレワークの実施率についてみていくと、全国平均は、緊急事態宣言発令後の第3回調査時で26.8%となっており、緊急事態宣言発令前の過去2回の調査と比較すると、10ポイント程度増加しています。
都道府県別に見ていくと、第3回調査では、東京都が51.9%、神奈川県が44.0%、千葉県が36.0%、埼玉県が32.6%と、関東圏を中心に実施率が高くなっています。
全国的に、特定警戒都道府県に指定された地域での実施率が高い傾向にありますが、京都府・大阪府・兵庫県などの関西圏や福岡県では20%前後、また、北海道や石川県、岐阜県については10%未満にとどまり、地域によって実施率にばらつきがみられます。
メリット・デメリットについて
ここからは、私が実際にテレワークを行ってみて感じた、メリット・デメリットについてご紹介したいと思います。
テレワークメリット1:好きな格好で勤務できる
最初のメリットはコレです。そう、仕事をするのに、スーツ(正装)を着用しなくていいんです!また、私は毎朝ひげを剃ったり(髭の処理に10分を要します)、髪の毛をセットしたりと、なにかと時間がかかりますが、テレビ会議や打ち合わせがない日には、顔を洗うだけで、自分を完璧な状態に仕上げる必要がありません。また、女性であれば、お化粧の時間を短縮できることもあるかと思います。これは、テレワークを経験した人であれば、一度は「楽だな~」と感じたことがあるのではないでしょうか!?朝、時間に追われることはなくなります(朝の1分と夜の1分って、なんであんなに違って感じるのか、不思議ですよね。私がだらしないだけかもしれませんが)。
しかし、私はテレワークをする中で気づきました。髪をセットしたり、スーツに着替えることで、気持ちを「仕事モード」に切り替えていたことを...後ほど、デメリットの中で「オン・オフの切り替えが難しい」ことについて触れたいと思いますが、在宅での勤務となると、なかなか気持ちの切り替えや集中することが難しいこともあると思います。そこで今では、通勤していた時と同じように、朝のルーティンをこなすことで(髪の毛のセット・スーツまでは着ませんが...)、気持ちを「仕事モード」に切り替えるようにしています。
テレワークメリット2:通勤がない
2つ目のメリットは、通勤がないことです!私は電車通勤をしていますが、ラッシュ時には人が多く、ストレスを感じる日も少なくありませんでした。毎日、朝・夕の各30分の電車通勤がなくなることで、ストレスだけではなく通勤時間のロスもなくなり、テレワークのメリットの1つとして感じていたところです。
しかし、私は気づきました。毎日ストレスに感じていた通勤時間も、なくなってみるとなんだか物足りないと思う自分がいることに。朝、家から駅まで歩き、駅から会社まで歩き、、普段散歩することがないため、ちょっとした運動、良い気晴らしになっていたんだなぁ~と実感しました。また、仕事終わりにちょっと買い物に行ったり、同僚とお疲れのビールを飲みに行ったり、、在宅勤務になると、そのような機会も減るのか~、と考えると、少し寂しい気もしました。。
テレワークメリット3:水道光熱費などの、オフィスコストを削減できる
これは、実際に当社の数値を見たわけではないですが、社員がオフィスに出社しなければ、おのずと光熱費などの費用が削減されることが予想されます。
少し古い資料になりますが、一般財団法人日本テレワーク協会では、平成23年度に「テレワークの導入に伴うオフィス勤務人員の減少・オフィススペースの工夫による照明の削減、空調使用時間の削減等により、オフィス自体の電力消費量は一人当たり43%削減可能。テレワーク導入による家庭の電力消費量の増加を考慮しても、オフィス・家庭全体で電力消費量は、一人当たり14%削減可能」という総務省の試算結果を公表しています。
また、テレワークが本格的に導入可能になれば、光熱費だけでなく、オフィスの賃料や資料費などの削減も見込めるため、オフィス費用全般の節約ができることが考えられます。
しかし、在宅勤務を実施した場合、自宅でパソコンを使ったり、エアコンなどの空調機器を利用したりなど、出社して仕事をする場合よりも自宅での光熱費は上がってしまいます。テレワークが本格導入となった場合は、このような個人にかかる通信費・水道光熱費用の負担などについて、就業規則の変更などによる対応が必要になると考えられえます。
テレワークメリット4:家事や自身の用事を済ませることができる
こちらのメリットは、特に家庭がある方や子どもがいる方などが感じると思いますが(私は未婚で子どももいませんが)、在宅勤務で一日家にいることで、休日にしかできない洗濯や掃除などの家事を、休み時間などを利用して済ませることができます。また、買い物や銀行、役所に行くなど、平日にしかできないことについても出社しているときより行きやすい環境になるため、普段、仕事と家庭の両立が難しい環境下で勤務している方にとってはメリットとなるのではないでしょうか。また、昼食を外食やコンビニなどで済ませている方にとっては、家にある物や昨晩の夕飯の残りを食べることができるため、食費を節約できるといったこともメリットとしてあげられます。
ですが、小さな子どもがいる方については、客先からの電話やテレビ会議の時などに、子どもが話しかけてきたり後ろで遊んでいたりなど、対応が難しいこともあるそうです。また、電話中などに限らず、子どもに気を取られて業務に集中できないといったこともあるそうで、特に、小さな子どもがいる方にとっては、テレワークを行う上での課題と言えそうです。
私は、客先との電話中に宅配が来たことがあり、少し焦ってしまうということを経験しました。大事な会議や打ち合わせなどがある場合は、なるべく出社して対応することを検討したほうがよさそうです。
テレワークデメリット1:仕事のオン・オフの切り替えが難しい
さて、ここからはテレワークのデメリットと感じた点についてのご紹介です。1つ目は、仕事のオン・オフの切り替えが難しい点です。
まず、仕事をする環境です。在宅勤務をしてみて、いかにオフィス内の職場環境が恵まれていたかを痛感しました(毎日会社に行っていたころは、当たり前に感じていました...)。私はソファとローテーブルで作業をしているため、すごく腰が痛くなります。
そして一番の問題が、自分の部屋で仕事をするということです。書斎など、仕事以外にも集中したいときのためのスペースを確保している方はあまり問題ないかもしれませんが、私のように、自身の部屋で作業をする人は集中できないこともあったのではないでしょうか。自分の部屋って、一番落ち着くことができる、リラックスができる、そして「仕事」から最もかけ離れた空間だと思うからです。例えば、テレビだったり、ゲームだったり、漫画だったり、誘惑はいくらでもあります(笑)。そのため、先ほどのメリット1で紹介したように、仕事モードに切り替えるための準備をしたり、テレビのリモコンを自身の手元から離れた場所に置くなど、煩悩と闘いながら業務を行っていました。
テレワークデメリット2:コミュニケーションが取れない
2つ目に感じたことが、コミュニケ―ションが取れないこと。新型コロナウイルスの影響で、必然的に人との接触機会を制限されていますが、この状況が落ち着いてもテレワークが継続された場合は、対面でのコミュニケーション機会はかなり減少します。
電話や社内メールなど、意思疎通をとる手段はありますが、やっぱり対面で話をすることって大事だなと感じました(とても感覚的なことですが)。緊急事態宣言が発令され、テレワークが開始されてから何度かテレビ電話機能を利用して、部内の社員とコミュニケーションをとる機会がありましたが、なんだかホットしたような、安心したような、ずっと家にいるばっかりだったので、少し気分が晴れた感じがしました。
もし、今後テレワークの導入で出社の機会が減ったとしても、一週間に何日かは会社に出向き、社員とのコミュニケーションが取れる機会が必要だと感じました。
また、社員との連絡手段が電話や社内メールだけとなるため、ちょっとした相談がある場合や、依頼をする場合は、会社にいれば少し会話をすれば済むことでも、電話をかけたりメールを打ったりする手間が増えました。メールの場合は、文字で伝えることが難しい場合などは特に時間がかかり、意見交換の際にはニュアンスが伝わらない、行き違いが発生するなど、効率が悪いと感じることもありました。
しかしながら、対人関係のストレスを抱えている人などにとっては、人と接する機会が減少することで、逆に業務効率が上がる、といったことも考えられるため、一概にデメリットとは言えないかもしれません。
最後に
テレワーク実施にあたってのメリット・デメリットをご紹介しましたが、共感していただけるものはあったでしょうか。1か月テレワークをやってみて、私はやっぱり、オフィスで仕事がしたいなと感じました。集中して仕事をするには、あの恵まれた環境が必要でした(笑)。
とはいえ、社会の状況によって、テレワーク実施が避けることができない状況になる可能性もあるので、工夫しながら、よりよいテレワークができるよう試行錯誤したいと思います!
<参考資料>
総務省:平成30年通信利用動向調査の結果
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/
statistics/data/190531_1.pdf
厚生労働省:「新型コロナ対策のための全国調査」結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11109.html
厚生労働省:テレワーク導入ための労務管理等Q&A集
https://telework.mhlw.go.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/RomuQA.pdf
一般財団法人日本テレワーク協会:テレワークによる節電対策と効果
https://www.japan-telework.or.jp/intro/save_effect.html
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